【宅建士試験の計算問題】捨てる?慣れる?計算問題の攻略法

【宅建士試験の計算問題】捨てる?慣れる?計算問題の攻略法 宅建士試験対策

宅建士の試験には計算問題が1問でることがあります。計算問題は時間がかかるし焦るから嫌いという苦手意識を持っている方もいると思います。

今回はそんな宅建士試験に出てくる計算問題について解説していきたいと思います。

【宅建士試験の計算問題】捨てる?慣れる?計算問題の攻略法

【宅建士試験の計算問題】捨てる?慣れる?計算問題の攻略法

宅建士試験で計算問題は時間がかかるので捨てるという方もいると思いますが、計算問題はある意味ワンパターンで過去問を見てみると、同じ形式の問題が出ています。

ですので慣れてしまえば得点源になるので計算問題は捨ててはいけません。計算問題が出た場合は確実に1点とるという気持ちで取り掛かりましょう。

ですが、時間のかかりそうな計算問題が出題がされている場合には「後回し」にしたほうが良い場合もあります

また計算問題と見せかけて計算する必要がない問題も多数あります。例えば、計算するまでもなく明らかに報酬の上限額を超えるということがわかるということも多々あります。計算する必要が本当にあるのかも考えながら解かないといけません。

宅建士試験・報酬の問題の基礎知識

宅建士試験・報酬の問題の基礎知識

宅建士試験の計算問題は宅建業法に定める報酬の問題になります。計算を解く前提として宅建業法に定められている報酬の基礎知識を押さえておかないと解くことはできません。

売買の場合の報酬額の上限

  1. 報酬の計算をする時は物件価格から消費税を引かないとダメ
  2. 媒介の報酬額は3%+6万円+消費税の計算式
  3. 代理の報酬額は媒介の2倍もらえるけれど
  4. 取引全体の報酬額が媒介の場合の報酬限度額の2倍を超えたらダメ

賃貸の場合の報酬額の上限

    媒介 代理
居住用建物

原則

0.5カ月分 合わせて1カ月分
例外 合わせて1カ月分(承諾があれば)
居住用以外 原則 合わせて1カ月分
例外 権利金の額を売買代金として計算できる

宅建士試験に出た計算問題の過去問研究

宅建士試験に出た計算問題の過去問研究

それでは実際に宅建士試験に出た計算問題を過去問から抜き出して研究していきたいと思います。

宅建士試験・計算問題例【平成24年度の問35】

宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付中古別荘の売却の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから別荘用物件の購入に係る媒介の依頼を受け、BとDの間で当該土地付中古別荘の売買契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。なお、当該土地付中古別荘の売買代金は316万円(うち、土地代金は100万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。

  • ア A社がBから受領する報酬の額によっては、C社はDから報酬を受領することができない場合がある。
  • イ A社はBから、少なくとも151,200円を上限とする報酬を受領することができる。
  • ウ A社がBから100,000円の報酬を受領した場合、C社がDから受領できる報酬の上限額は202,400円である。
  • エ A社は、代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無にかかわらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ウ、エ
  4. ア、イ、ウ

必要な計算量は、

①土地+建物+消費税の物件価格が316万円だが、これを基準に報酬額を考えると消費税まで仲介したことになるので、消費税を抜く計算

316万円-土地代100万円=建物代216万円、
216万円÷1.08%(当時の消費税率)=200万円

土地が100万円・建物が200万円・消費税が16万円
→報酬の計算は土地+建物の200万円を基準に計算することがわかる

②選択肢イにおいて、300万円の物件の報酬額の計算

(200万円×5%+100万円×4%)×1.08%=151,200円

現在は消費税率が1.1%と比較的計算しやすい数値になっているが、以前は1.08%かけたり割ったりするのが面倒だった。
ア、Aが満額受領すると、Cは受領できない。〇
イ、計算により媒介での報酬額が151,200円とでる。Cが受領できるのは151,200円が上限なのでAは最低でも残りの151,200円はもらえる。〇
ウ、媒介の報酬額助言151,200円を超えられない。×
エ、依頼がないと特別の広告料を受け取れない。×
なのでアとイの組み合わせの1が正解。

宅建士試験・計算問題例【平成25年度の問37】

宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付建物の売却の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから戸建住宅の購入の媒介の依頼を受け、BとDの間で売買契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。なお、土地付建物の代金は5,400万円(うち、土地代金は2,160万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。

  • ア A社はBから3,480,000円の報酬を受領し、C社はDから1,740,000円の報酬を受領した。
  • イ A社はBから2,200,000円の報酬を受領し、C社はA社及びDの了承を得た上でDから1,370,000円の報酬を受領した。
  • ウ A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. なし

基本的には平成24年の問35と同じ形式の問題だが計算量は激増した問題です。

まず物件価格から消費税を抜く計算は

物件価格5400万円-土地代2160万円=建物代と消費税は3240万円
3240万円÷消費税1.08%=3000万円が建物代
報酬の計算の基準となる額は、土地代2160万円+建物代3000万円=5160万円

報酬の計算の基準額が5160万円。これに3%をかけたり、1.08%をかけたりしたらものすごい数字になることはわかります。この時点で「後回し」を決断するのも一つの手です。

次に媒介した場合の報酬額

(5160万円×3%+6万円)×1.08% = 1,736,640円

代理した時の報酬額は

1,736,640万円 × 2 = 3,473,280円

最後に選択肢イで、220万円+137万円=357万円。
選択肢ウで166万円+166万9500円=332万9500円

ア、AもCも上限を超えている、取引全体でも超えている。×
イ、取引全体の報酬上限額を超えている。×
ウ、取引全体の報酬額は限度内。特別の広告費も承諾済み。〇
なので一つの1が正解

宅建士試験・計算問題例【平成27年度の問33】

宅地建物取引業者A及びB(ともに消費税課税事業者)が受領した報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものの組合せはどれか。なお、この問において「消費税等相当額」とは、消費税額及び地方消費税額に相当する金額をいうものとする。

  • ア 土地付新築住宅(代金3,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aは売主から代理を、Bは買主から媒介を依頼され、Aは売主から207万3,600円を、Bは買主から103万6,800円を報酬として受領した。
  • イ Aは、店舗用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分20万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金500万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ22万5,000円を報酬として受領した。
  • ウ 居住用建物(借賃1か月分10万円)について、Aは貸主から媒介を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から8万円、Bは借主から5万4,000円を報酬として受領した。なお、Aは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の0.54か月分を超えることについて貸主から承諾を得ていた。
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、ウ
  4. ア、イ、ウ

ア、(3000万円×3%+6万円)×1.08%=103万6800円の計算は、「1.08をかける前に」止めよう。AとBが受け取った報酬額が取引全体の報酬額を超えることは明らかです。

イ、居住用建物以外の賃貸借に関し、権利金の授受があるときは、権利金を基準として報酬を計算することができる。(500万円×3%+6万円)×1.08%=226,800円

ウ、10万円×0.5か月分=5万円、5万円×1.08%=54,000円。取引全体の報酬上限を超えている。

ア、違反する
イ、違反しない
ウ、違反する
なので3

宅建士試験・計算問題例【平成29年度の問26】

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDの間での賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか、なお、1か月分の借賃は9万円(消費税等相当額を含まない。)である。

  1. 建物を店舗として貸借する場合、当該賃貸借契約において200万円の権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は216,000円である。
  2. AがBから48,600円の報酬を受領し、CがDから48,600円の報酬を受領した場合、AはBの依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。
  3. Cは、Dから報酬をその限度額まで受領できるほかに、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。
  4. 建物を居住用として貸借する場合、当該賃貸借契約において100万円の保証金(Dの退去時にDに全額返還されるものとする。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は108,000円である。

計算量は少ない。計算というよりは知識を問う問題

1、(200万円×5%)×1.08%=108,000円×2=216,000円
2、9万円×1.08%=97,200円、48,600円×2=97,200円

4については計算する前に知識で考えてみるべき。計算は必要ない。
1、計算しその通り。〇
2、計算も必要だが、特別の広告費は上限額に関係なく受領可能という知識を問う問題。×
3、重説の対価などもらえない。×
4、権利金なら売買代金として計算できるが保証金は不可。×
なので1が正解

宅建士試験・計算問題例【平成30年度の問31】

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬の上限額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 土地付中古住宅(代金500万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Bから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をBに対し説明した上で、AがBから受け取ることができる報酬の上限額は280,800円である。
  2. 土地付中古住宅(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが買主Cから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ4万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をCに対し説明した上で、AがCから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
  3. 土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
  4. 中古住宅(1か月分の借賃15万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借について、Aが貸主Eから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の貸借の媒介に比べ3万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をEに対し説明した上で、AがEから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
これは実は計算問題ではありません。「報酬に関する空き家等の特例」の知識を問う問題です。

この「報酬に関する空き家等の特例」のポイントは

  • 物件価格が400万円以下の場合に適用可能で
  • 売買の売主からもらえる報酬に対して
  • 売主に説明をすることにより
  • 上限額にプラスして調査費用なども請求できるというもの
  • ただし報酬の上限は18万円(税込みだと194,400円)を超えてはいけない。

という特例です。

1、物件価格400万円を超えているので適用不可
2、買主からの報酬なので適用不可
3、すべてクリアしているので適用可能
4、賃貸には適用不可
なので3が正解

消費税が10%になり宅建士試験の計算問題は簡単になった?

消費税が10%になり宅建士試験の計算問題は簡単になった?

宅建士試験の計算問題の難しさの要因は消費税が8%だったことのよる、1.08をかけないといけないという計算の面倒くささでした。

ですが消費税が8%から10%になったことにより、1.1をかければよくなりある程度計算の大変さは改善されたと言えます

しかし基準となる物件価格を中途半端な数字にすることにより、計算の難易度を上げるのは簡単なので、これで計算量が減ると考えて安心してはいけないかもしれません。

【宅建士試験の計算問題】捨てる?慣れる?計算問題の攻略法:まとめ

宅建士試験の計算問題は意外と得点源になるので、苦手意識を持たずに慣れておくべき

後回しにしたほうが良いくらい計算量の多い年もあるので要注意

計算がそもそも必要のない場合が多い。無駄な計算はしないように問題文をよく読もう

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