宅建・意思表示(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】

宅建・意思表示(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】 宅建士試験対策

宅建士試験の民法の科目のテーマの一つ【意思表示】の過去問を研究してこのテーマを得点源にしましょう。

宅建試験・民法科目・意思表示のテーマ【暗記】

意思表示のテーマの中には、心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤・詐欺・強迫があります。

①心裡留保

原則・有効

例外・無効
相手が悪意or善意有過失の場合

※出題がない場合が多い

②通謀虚偽表示

当事者間・無効

対第三者・善意の第三者に対しては無効を対抗できない。

転得者・一旦善意の転得者がいれば、それ以降の転得者には対抗できない。

 

③詐欺

原則取り消すことができる
ただし善意無過失の第三者には対抗できない
取消の第三者善意無過失の第三者に対抗できない
取消の第三者対抗問題

例外・第三者の詐欺によってなされた意思表示は相手方が善意無過失の場合は、取り消せない

④強迫

原則取り消すことができる
・善意の第三者にも対抗できる

・第三者の強迫によってなされた意思表示は相手方が善意の場合でも取り消せる

⑤錯誤
☆要素の錯誤
原則・無効を主張できる
例外・表意者に重過失 → できない
例外の例外・相手方が表意者の錯誤について悪意or重過失
      ・同じ錯誤に陥っている → できる
☆動機の錯誤
原則・無効を主張できない
例外明示的黙示的にその動機を表明している → できる

※表意者が無効を主張できない・する気がないときは相手方も無効を主張できない。
とりあえずこれだけ暗記してください。他のことについて知りたければ、ほかのサイトや手元のテキストで勉強してください。

宅建試験に「意思表示」が出題された履歴

意思表示に関する問題が出題された履歴です。

  H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
心裡                    
通謀              
詐欺              
強迫                
錯誤          

●はそれのみの問が出題された場合、△は問の中の選択肢の中に関係する内容が出題された場合を表しています。

意思表示が出た過去問を解説

意思表示は、心裡留保は出ないケースが多く、通謀虚偽表示・詐欺・強迫・錯誤のどれの問題なのかまず分類する。その後各テーマの知識を問う問題になっている。

AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
(2)AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
(3)Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
(4)Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。

R1宅建試験 問2

(1)詐欺による取り消し後の第三者 → 範囲内 正しい
(2)詐欺による取り消し前の第三者 → 範囲内 正しい
(3)錯誤・表意者に重過失無し → 範囲内 正しい
(4)錯誤・表意者に重過失あり → 範囲内 誤り

すべて暗記ポイントの範囲内なので正解できるはず。詐欺取消の前後の第三者はよく出るので中でも確実に覚えておきたい。

AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。
(2)Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。
(3)AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。
(4)Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

H30宅建試験 問1

(1)第三者の詐欺 → 範囲内 正しい
(2)錯誤無効の相手方の主張不可 → 範囲内 正しい
(3)通謀虚偽表示 → 範囲内 正しい
(4)詐欺の例外 → 範囲内 誤り

すべて暗記ポイントの範囲内なので、正解できるはず

所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(4)AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。

H29宅建試験 問2 選択肢4

(4)取り消した場合はじめから無効になる

無効の意味を理解する必要がある。暗記していてもなかなか難しい

AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(2)AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。
(4)AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

H28宅建試験 問2 選択肢2.4

(2)詐欺による取り消し前の第三者 → 範囲内 誤り
(4)錯誤無効の相手方主張不可 → 範囲内 誤り(あと取消ではない・動機の表明があったかも謎)

二つとも暗記ポイントの範囲内、この2つが正答ではないということはわかる

Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、Bを買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「善意」又は「悪意」とは、虚偽表示の事実についての善意又は悪意とする。
(1)善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
(2)善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
(3)Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
(4)甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない。

H27宅建試験 問2

通謀虚偽表示の設問
(1)善意の転得者 → 範囲内 正しい
(2)転得者ではない → 範囲内 誤り
(3)善意の転得者 → 範囲内 正しい
(4)善意の転得者 → 範囲内 正しい

(1)登記を備えている(2)建物の賃借(3)債権者などややこしくするフレーズが入っているが、惑わされずに暗記した原則に立ち戻って考えるべき。

次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
(1)意思表示に要素の錯誤があった場合、表意者は取り消すことができる旨

H25宅建試験 問1

暗記した内容ではあるが、「民法には規定されていない」 → 範囲外 誤り

民法に規定されているかどうかは正直覚えなくてもいいので、間違っても仕方ない

民法第94条第2項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は「善意の第三者に対抗することができない。」と定めている。次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、同項の「第三者」に該当しないものはどれか。
(1)Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者C
(2)Aが所有する甲土地につき、AとBの間には債権債務関係がないにもかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者C
(3)Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたC
(4)AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたC

H24宅建試験 問1

通謀虚偽表示の設問
(1)範囲内 該当する
(2)読んでてもあんまり意味わからないと思います → 範囲外 該当する
(3)範囲内 該当しない
(4)範囲内 該当する

(2)が全くわからないけど、とりあえず放置しても解ける設問。(1)典型的でわかりやすい(3)全く別の案件・勘違いしてお金を貸しただけ(4)モノの売買契約ではないがこちらも典型的

A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、動機の錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。
(2)Bは、第三者であるCから甲土地がリゾート開発される地域内になるとだまされて売買契約を締結した場合、AがCによる詐欺の事実を知っていたとしても、Bは本件売買契約を詐欺を理由に取り消すことはできない。
(3)AがBにだまされたとして詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した後、Bが甲土地をAに返還せずにDに転売してDが所有権移転登記を備えても、AはDから甲土地を取り戻すことができる。
(4)BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。

H23宅建試験 問1

(1)錯誤 → 範囲内 誤り(表明していない動機の錯誤)
(2)詐欺 → 範囲内 誤り(第三者の詐欺について悪意の場合)
(3)詐欺 → 範囲内 誤り(詐欺取消後の第三者とは対抗関係)
(4)強迫 → 範囲内 正しい

どれも基本的な知識を聞いている。暗記ポイントの範囲内なので確実に得点したい 

宅建・意思表示(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】:まとめ

詐欺の取消前の第三者と取消後の第三者の問題がよくでる。通謀虚偽表示の専門の設問が4年に一度くらいの確率で出てくる。

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