宅建試験・時効(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】

宅建試験・時効(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】 宅建士試験対策

宅建士試験の民法の科目のテーマの一つ【時効】の過去問を研究してこのテーマを得点源にしましょう。

宅建試験・民法科目・時効のテーマ【暗記】

時効に関する基本的なところは他のサイトやテキストで勉強してください。ここでは勉強初期に暗記する【暗記ポイント】を紹介します。

①取得時効について

  注意点 期間
所有権 所有の意思を持って
賃貸で借りてではNG
善意・10年間
悪意or有過失・20年間

・占有の承継 → 相続などで承継することも可能・善意や悪意も承継する

時効完成の第三者 → 登記なしでも対抗できる
 時効完成の第三者 → 対抗関係

賃借権や地役権も取得時効の対象となる。

②消滅時効について

所有権は消滅時効にかからない

とりあえずこれだけ暗記してください。他のことについて知りたければ、ほかのサイトや手元のテキストで勉強してください。

宅建試験に「時効」が出題された履歴

時効に関する問題が出題された履歴です。

  H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
出題        

●はそれのみの問が出題された場合、△は問の中の選択肢の中に関係する内容が出題された場合を表しています。

最近の傾向から言うと、毎年出題されています。徹底的に対策すべきです。

時効が出た過去問を解説

時効に関する過去問を解説していきます。

AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合の時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合には、特段の事情がない限り、時効中断の効力は生じない。
(2)訴えの提起後に当該訴えの却下の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。
(3)訴えの提起後に請求棄却の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。
(4)訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効中断の効力は生じない。

R1宅建試験 問9

(1)時効の中断 → 正しい
(2)時効の中断 → 正しい
(3)時効の中断 → 正しい 
(4)時効の中断 → 誤り

すべての選択肢は「生じない」で終わっている。誤りを探すということは1つ「時効中断が生じる」ものがあると予想がつく。
(1)はAが訴えを取り下げている・(2)(3)はAは裁判所に訴えを断られている、(4)はAとBの和解。
時効中断されるとBはイヤ(時効が成立すればお金を払わなくていいから)。Bが一番怒らなさそうなものは(4)の和解。(4)が時効中断の効力が生じる可能性が高い。

と考えれば暗記していなくても解ける。

時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
(2)後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
(3)詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
(4)債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。

H30宅建試験 問4

(1)時効の援用 → 正しい
(2)時効の援用 → 誤り
(3)時効の援用 → 正しい
(4)時効の援用 → 正しい

時効の援用ができるのは本人以外でどんな人がいるか問う問題。(2)(3)は判例の内容も知っておかないといけない。

A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
(2)Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
(3)Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
(4)甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。

H27宅建試験 問4

(1)取得時効・所有の意思 → 誤り
(2)取得時効の承継 → 誤り
(3)取得時効完成前の第三者 → 正しい
(4)農地の賃借権の取得時効 → 誤り

基本的な知識で解ける。(1)のように、占有の意思があるかないかで、賃借権であり占有の意思がないというのはもっとも出題される問題。

権利の取得や消滅に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、当該土地が売主の所有物でなくても、売主が無権利者であることにつき善意で無過失であれば、即時に当該不動産の所有権を取得する。
(2)所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。
(3)買主の売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
(4)20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。

H26宅建試験 問3

(1)取得時効(不動産) → 誤り
(2)消滅時効(所有権はかからない) → 誤り
(3)消滅時効 → 正しい
(4)取得時効・占有の意思 → 誤り

消去法で(3)。逆に言うと自信をもって(1)(2)(4)を誤りと判断できるようにしておきたい。(4)は占有の意思の問題。「占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず」は難しい文章だが、賃借で占有を始めた場合は占有の意思はないためいくら占有していても所有権を取得することはない。

所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。
(2)自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。
(3)時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
(4)通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

H22宅建試験 問3

(1)賃借権の時効取得 → 誤り
(2)隣接地の一部の取得時効 → 正しい
(3)時効の援用 → 正しい
(4)地役権の時効取得 → 正しい

賃借権や地役権も「継続的に行使され、外形上認識することができるもの」であれば取得時効の対象となる。
(3)は時効完成前と後の第三者の応用問題。時効取得者は、登場した第三者に勝つには、時効完成前なら登記不要、後なら登記が要る。時効の起算日を動かせるならすべて有利な時効完成前の第三者にされてしまうので、起算日は早めたり遅らせたりできない。

宅建・時効(民法のテーマ)を攻略【宅建試験過去問研究】:まとめ

冒頭の【暗記】コーナーにある分だけはとりあえず暗記してみてください。これが暗記できたなと思った段階で、ほかのところを暗記してみてください。

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